インターネット苦瓜

ゲームの話をしないブログ

ちゃんとしたいズ企画@下北沢 Barrack Block Cafe

ちゃんとしたいズ企画@下北沢 Barrack Block Cafe 観に行った。結論から先に申し上げますがとても楽しいライブだった。映画もライブも家出る前は死ぬほどめんどくさい、電車に乗っててもすぐさま帰りたいと思いがちなんだけど、行けばだいたい楽しいので、この性格のせいでずいぶん損してるんだろうなとは思う。

The Scrooge

クリーントーンのギターが気持ちいい、初夏のように爽やかなロックンロール。羅針盤を連想するような。オールシッティングだし、何故か下手に育ちすぎた観葉植物が鎮座ましましていて演者としてはやりづらかったんではないかと思うが、パフォーマンスはとても安定していた。たぶん謙遜のつもりで「大人の部活として活動している」と自称していたが、どっこいタフな演奏だった。「ピート・タウンゼントって聞いたことあるけど何者なのかわからない」という内容の歌が良かった。人は普通、確信を持って初めて力強く声を上げることができるのであって、何なのかわからないものについてロックンロールを貫くのは簡単ではない。

得能大輔

札幌でその曲を耳にしたことがない者はいないという(?)コンポーザーにして、自ら歌って踊るアイドルでもある47歳男性。アイドル現場というものをほぼ全く知らない俺けれども、アイドル性とはその外見のことでもバックストーリーのことでもなく、その「力」にあるのだということを見せつける堂々のパフォーマンスだった。俺は前の方にいたのでわからなかったが、当初食いつきが悪かったのかしきりに「アウェーだ」「空気が合わない」とこぼしていたが、それでも笑顔を絶やさぬ手加減なしの歌とダンスで、最後には黄色い歓声を引き出していた。ライブは演者と観客の共犯関係によって成立するものであり、いかに「お客様」から「共犯者」にまで引き上げるかが演者の腕なのだ。「すぺくたくるだてめがね」歌詞は奇怪なのにちゃんとアイドルソングになっていて心をつかまれる。アルバムとシングル CD 両方買った。

ちゃんとしたいズ

ドラマーの佐々木さんが加入し、3人編成になって初のライブ。佐々木さんは去年観たウホウホテープではタイトでストイックなプレイを貫いていて、どんなアンサンブルを奏でるのか想像できなかったが、ちゃんとしたいズでは打って変わってバワフルに叩いている。ギターのかにさんは生ドラムが加わったからなのか、明らかに安定感が増していて迷いがなくなった。リズムの不安をパワーでねじ伏せていたデュオが、一皮むけて「ロックバンド」に成長した。MC でも「佐々木さんは早くも精神的支柱」と紹介されていたが、音楽的にも間違いのない支柱になっている。支柱がしっかりしていれば、舞台でどれだけ暴れまわっても床が抜けることはないのである。

ちゃんとしたいズを観ているといつも考えるのは「ちゃんとしている」とはどういうことかということだ。人はちゃんとしたものを見ている時に「ちゃんとしている」と認識はしない。ちゃんとしていないものを目にした時に初めて「ちゃんとしているか、いないか」が意識に上ってくる。ちゃんとしたいズの音はガレージロックとして確立されたが、ガレージロックバンドは難しそうな顔でかったるそうに歌うものと相場は決まっていて、普通、ティアラを冠して靴を光らせながらなまめかしく踊るボーカリストはいない。ロックバンドとして全然ちゃんとしていないのだが、しかし一方で、観客である我々はその「ちゃんとしてなさ」にエネルギーの奔流を見出してもいるのである。

そういう持続、運動、躍動、奔流をひねり出して高まりに高まりきったラスト曲「お前を殺す」で担当楽器を放り出し、マラカスを振り回しながら歌い踊る。ちゃんとしてなさを演出する、意外にちゃんと考えられた構成になっている。アンコールで西野カナをカバーしてた不可解さも含めて。

全体的にすごく良かったので俺もまたベース弾きたいな、バンドやりたいなと思いながら聴いてたけど会場を出た瞬間そんな気持ちが雲散霧消したのですごかった。自分にとっての「チームを組むこと自体のめんどうくささ」の比重のデカさもすごいし、それだけのめんどくささを抱えてなお「バンド組みたいな」と思わせるパワーのあるパフォーマンスの数々がすごかった。バンドはもう組まなくていいけど音楽やりたみのボルテージが一向に収まらないのでカラオケで歌いまくった。Earth, Wind & Fire「September」は3回ぐらい歌った。いつ聴いても EW&F は最高だな。頼まれれば EW&F のベースなら弾いてやってもいいな。


Earth, Wind & Fire - September