インターネット苦瓜

ゲームの話をしないブログ

ちゃんとしたいズレコ発@ dues 新宿

夜からちゃんとしたいズレコ発@ dues 新宿を観に行く。開演時刻を30分勘違いしていて早く着いてしまったので、ビックロPSV「ザ・ロストチャイルド」を買おうとして目に入ったハンドスピナーを差し入れとして買っていったら、とよかわさん:苦笑い、かにさん:そもそもハンドスピナーが何か知らない、という反応だった。差し入れてよかった。

ウィンブルドン総合優勝

全体的に本気なのか冗談なのかよくわからない名前のバンドばかり出てくるライブだったけど、その中でも2番目にきっちりした、成立してるバンド名に生真面目さが表れつつ、しかし「ウィンブルドン」と「総合優勝」はよく考えてみると単語として成立していない、そんなほころびに後ろ髪引かれるように揺らぎ続けるハウス/ヒップホップユニット。狷介な曲名の割に親しみやすいトラックとハイトーン・ボイスがたたみかけるラップに気持ちよく身をゆだねていたが、帰って bandcamp で音源を購入して、歌詞を確認したらやっぱり異常で狷介だった。お気に入りの「IKKEI GAME」は渡辺いっけいに捧げる歌なのかと思ってたら、デスゲームの歌だ。

ウホウホテープ

1曲目が始まってその異常にストイックな演奏に衝撃を受けた。ある程度楽器の演奏に熟達してくると、もう少し色気を出したくなるのが普通の演奏者なんだけど、ドラムは正確だが気のないようなビートを鳴らし、ベースはほとんど3音しか使わないが明らかに初心者ではなく、弦楽器の扱いに慣れている手つきだ。意図をはかりかねて意識を集中して聴こうとすると、あえて外しにくるボーカルが意識にすりこまれて、いわゆるグルーヴとは違う不均質な波が寄せてきてゆらぐゆらぐ。ぐらぐらしたまま1曲目が終わると、ぐるりと逆時計回りにメンバーが移動し、担当楽器を交代して2曲目が始まった。おおっと、そういうことだったのか。おそらくは2曲目の編成が本来のバンドの編成なのではないかと思うが、すべての曲でそれぞれ担当楽器を変えて演奏しており、果たして「本来の編成」とは何か? という問いがただちに惹起される。昔から折に触れて思い出す「スポーツチームを応援するということは、何を応援することなのか?」という問いを連想する。特にプロスポーツチームは毎年メンバーが変わり、編成が変わり、指揮者も変わり、ユニフォームすら変わることがある。では観客にとって「そのチーム」とは何を指すのだろうか。それとも全くの幻影に惑わされているだけのことなのだろうか。その理路は不明だが先取りされる答えとして、「そのチーム」として名指すべき何かは成立している。成立しているとしか言えない。というのがこの異常なバンドを観た感想。「ライブにあまり出ない」と言っていたが、ライブで観ないとうまく受け止め切れないバンドではなかろうか。

ばけばけばー

名前はどこかで聞いたことがあったがちゃんと知らなかったバンド。音としてはサイケでどことなくヘンテコだが、その実、緻密な構成とクレバーな演奏で重厚な織物を編み上げ、それが異常な音の圧となって客席をなめたおす圧巻のライブだった。書くことなし。大満足。CD 買った。

ちゃんとしたいズ

正直なところ、ここまでの3バンドが素晴らしかったので、大トリの大メインイベントが負けちゃうんじゃないかと勝手な心配をしていたんだけど、杞憂であった。演奏力も着実にアップしているし、とよかわさんのなまめかしいダンスとかにさんの陶酔したアクションはキャリアでははるかに上回るであろう他の3バンドにも負けない魂の輝きを放っていた。

バンド演奏でもカラオケでも、何なら鼻歌でも究極的には一緒だと思うんだけど、音楽を「演ずる」ということは、そこにどこまでどうやって魂を乗っけられるかという問題なのだ。そこに魂が乗るか、魂を見出すことができるかどうかがノイズとシグナルの分水嶺になる。ちゃんとしたいズはそのバンド名が示す通り、またメンバー自身が言及する通り、「ちゃんとしたいが、ちゃんとしてしまったら終わり」という本質的なジレンマを抱えた異常なバンドであるが、逆に言えば「ちゃんとしたら終わりだが、ちゃんとしたい」2人によるバンドである。その「ちゃんとしたい」ジレンマにおいて蓄積されたエネルギーをもって、防音のために密閉された逃げ場のない空間に 「ちゃんとしたい」というシグナルを思うさま解き放つ充溢したライブであった。

思ってたよりずっとちゃんとしてたけど、もっともっとちゃんとできる余地があるし、これからの活躍に期待できる。前回の東京ライブを賃労働ごときに邪魔されて観ることかなわず、YouTube で録画を観ては「このバンドのステージングを是非生で観たかった」と悔やんでいたのだけど、実際に生で観られてとてもよかった。超満足。CD2枚買った。 異常に楽しいイベントであった。