インターネット苦瓜

ゲームの話をしないブログ

麻薬戦争

2年か3年ぶりに会った後輩が、有名なゲームソフトのミドルウェアの会社に転職していた。時期が時期なので自然と東京ゲームショウの話になる。

VR 技術で CG 美少女のおっぱいを揉むとかやってるけど、そんなの1つもおもしろくないだろ! VR 技術を用いた本当におもしろ体験ってのは(以下、近い将来現れるに違いない触覚デバイスと組み合わせた、世界各地の砂漠の砂質の違いを体感するゲームの話が続く)」

「でも、CG 美少女の方が売れますよね……」

「阿呆! 『売れるものが良いものである』なんてテーゼを認めたら、ビデオゲームなんぞよりパチンコの方がよっぽど優れてるってことになるだろが! そしたらお前も失職じゃ! 本当におもしろくて新しいものが作り出せないと、あっという間に駆逐されちまうぞ!(以下、近い将来現れるに違いない嗅覚デバイスと組み合わせた、「家で犬を飼っている人」を見分けるオープンワールドゲームの話が続く)」

飲み会はそれ以上話が進展することなく散会したんだけど、なかなか難しいよなとは思った。遊んでおもしろいのは明らかに俺が提唱する世界各地の砂漠の砂質の違いを体感するゲームの方だけど、遊んでみることなく店頭に並んでいるパッケージで比べたら、やっぱりキャッチーなのは CG 美少女のおっぱいを揉めるゲームの方かも知れないし。ただおっぱいを揉むだけだと飽きるかも知れないけど、おっぱいを揉むと CG 美少女が口からジャラジャラパチンコ玉を吐いて、そのスコアランキングの上から数名に毎月プリペイドカードでもプレゼントするようになれば、これはもう大ヒット間違いなしという気がする。それが家計を助けるんだから、お父さんも安心して堂々と CG 美少女のおっぱいを揉めるよね。

あとまぁ、将来的には電子ドラッグ化の流れを止められなくなるな。ピカチュウがピカピカしたアレ的な、ただただ明滅する画面を眺め続け、快楽の奔流に身を任せるようなやつ。それが人体に与える害が十分に研究されないまま(何しろ「人体に与える害」という観念自体が不明確なものだし、こういう研究は時間がかかる)、政府はとりあえず規制の方向に動くんだけど、問題は電子ドラッグ摂取の証拠を法的に確保するのが難しいということだ。電子ドラッグは代謝されないから、尿検査や血液検査では使用していたか確認ができない。密閉型のバイザーを付け、口を半開きにしてよだれとおしっこをジョボジョボ漏らしている人がいたら見た目は相当ヤバいが、「破裂した水道管の代替部品が届くまで、自分の体を使って水を流すゲーム」をプレイしているだけのことかも知れない。電子ドラッグのデベロッパーも、そういう「表向きの言い訳用のソフト」を必ずセットで提供するはずだ。ナイフを振り回して暴れ始めたとしても、「飛んできた果物を切り刻むゲームをプレイしていただけです」とか言えるわけで、仮にそれで人を殺めても、「殺意を否定する」方法として法廷戦略に組み込める。ただ電子ドラッグとしてだけではなく、違法な振る舞いのアリバイ作りとして用いられる。バイザーで顔を覆っていれば、背丈や体形の似た替え玉が出頭すれば、わからないし。

当然、メキシコやコロンビアの麻薬カルテルはそれらの電子ドラッグをかぎつける。最初は異物として、やがては金の湧き出る泉として。何しろ畑も流通用のトラックも必要ないわけで、製造と流通を完全に地下化できるメリットは大きい。血なまぐさい闘争の果てに、かならずカルテルは電子ドラッグ産業を掌握する。そしてそれだけプリミティブな電子ドラッグが流通するようになったら、当然ビデオゲーム産業も致命的な大打撃を受ける。やっぱり後輩も失業することになるだろうが、しかしアメリカの企業家たちがおめおめと引き下がるとも思えない。Activision や EA なんかのデカいパブリッシャーが AAA 級 FPS を制作する中で培ってきた、軍部や警察関係者のツテを頼りに、「社会正義」の御旗の下、新世代の麻薬戦争を始めるかも知れない。

……とここまで考えてから調べてみたんだけど、世界のコンピューターゲーム産業の市場規模が2015年時点で8兆2667億円、世界の麻薬産業の市場規模が2003年時点で37.3兆円という試算があるらしい。あーダメだわ。全然勝てんわ。麻薬産業の当事者たちが互いに協力的であるとは思えないけど、この37.3兆円て数字にももっと地下に隠れた数字がありそうだもんね。残念ですがコンピューターゲーム産業の未来は麻薬カルテルに握られることとなりました。かつて「コンピューターゲーム」と呼ばれた類のソフトはすべて画面がビカビカ明滅するだけのものとなりますが、Mafia シリーズの新作だけものすごい AAA 級タイトルになってリリースされる。

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